ギャランGTOストーリー第1話 〜誕生前夜〜

1964  COLT SPORTS (開発モデル)

1964    COLT SPORTS  (A40)

幻のクーペ、コルトスポーツ

三菱スペシャリティーカーの最初はA40型コルトスポーツという
コルト1500エンジンを積むセミファストバッククーペを1964年に計画。

しかし翌65年、突如プロジェクトが中止になり幻となってしまう。

(写真提供:三橋慎一氏 出典:三栄書房 インハウスデザイナー)
後に「コルトギャラン」のデザインを手掛ける事となる三橋慎一氏が
チーフデザイナーとなり作られたモデルは
上品なヨーロッパテイストで流麗に纏められていた。

Cピラーに付くエアアウトレットのデザインに
ギャランGTOの面影が感じられる。

もしコルトスポーツが市販化されていたら
ギャランGTOの運命も変わっていたかもしれない・・・



1968

スペシャリティースポーツカー計画


コルト後継車の「ギャラン」を開発中の1968年春頃
ギャラン派生の2ドアモデルの開発がスタートする。
このモデルは後にギャランハードトップとして発売されるが
今後さらに多様化するユーザーに対応するべく
気鋭デザイナーの上砂公昭氏が米国留学中に影響を受け
アメリカナイズされたアグレッシブなクレイモデルを製作した。
これが上層部の目に留まり、スポーツクーペのGOサインが出る。

(上記写真は69年頃のクレイモデル)
コルトギャランが完成する69年秋頃はデザインも具体的になり
クーペ専用の豪華なダッシュボードのスケッチは
1969年6月に書かれているが、なぜか左ハンドルである。

クーペのエンジンは当初コルトフォーミュラF-2D用の
R39-2型DOHC1600エンジンを搭載の計画で
テスト等も行われていたのだが、
最終的にはフォーミュラとは別物のコルトギャラン用に
開発されたサターンAIIエンジンのブロックとなるべく共通にし
コスト面と生産性を高め、新型クーペ専用に新開発する
DOHCヘッド部分を載せる手法に計画変更されるが
これが後にギャランGTO-MRとして発売されるのである。



1969- COLT Galant (A51、A52)


1969      COLT  Galant AII GRAND SPORTS (A52-GS)
 コルトからの脱皮、新感覚コルトギャランへ

 ギャランGTOのストーリーを語る上で忘れてはならないのがベースとなったコルトギャランです。
今迄の三菱コルトに代わる全く新しいスタイリッシュなセダンは1966年秋頃から開発され
1969年10月の東京モーターショーでついにベールを脱ぎ、センセーショナルなデビューを飾った。

搭載される三菱初の軽量OHCエンジンは「SATURN」(サターン)と命名。
サターンの基本モデルは1300CCの「AI」とその上級版は1500CCの「AII」と呼ばれた。
12月1日には最上級スポーツバージョン105馬力を発するAIIGS(最高速175Km/h)発売。

将来を見据え77項目にわたる安全対策を盛り込み、公害対策を考えたサターンエンジンを搭載し
躍動感溢れるポップアップラインとクリーンでシャープな外観は「ダイナウエッジライン」と呼ばれ
軽快で若々しいイメージは大成功を収め、発表1か月で8000台を売り
翌70年には月産1万台を超える大ヒット商品になり翌年には海外輸出も本格的に行われた。

特にAIIGSは排気系の設計にもより「ギャランノート」とも言われる独特の甲高い排気音を持ち人気が高く
レースやラリー、ジムカーナ等競技にも多数出場し数々の勝利を収めた基本性能の高さは、
ギャランGTOの他クーペFTO、後のニューギャランベースとなり、
ラリーで大活躍した初代A73型ランサーにも各種パーツは受け継がれてゆくのである。


1969   COLT Galant Coupe GTX-1 (Show Model 参考出品車)  


1969         COLT Galant Coupe GTX-1 (試作車)

プロトタイプ、コルトギャランGTX-1登場

1969年10月の第16回東京モーターショーにて発表された
コルトギャランをベースに持ち、そのクーペバージョンとして
同時に参考出品された高性能スペシャリティークーペ。
後にこの車が改良されてコルトギャランGTOとなります。

参考出品されたクーペは2種類。コルトギャランAIIGSの
OHCエンジンとオリンポスオレンジ色をまとった
「レジャータイプ」と、新設計高性能DOHCエンジンと
つや消しシルバー色にラリー用マッドブラック色の
エアースクープ付ボンネットと濃紺のストライプ、
マグホイール、フォグランプ等を装着した写真のGTタイプ。
リアスタイルはいわゆる「ダックテール」と呼ばれたが、
空力抵抗にも優れ、エアースポイラー的効果の有るデザインは
日本車では初めてこのGTX-1が採用、
航空機技術を有する三菱重工業ならではである。

生産型のコルトギャランGTOにはクライスラー社の
協力が有ったが、このGTX-1は三菱重工のオリジナルという。
後のGTOへの協力とは、ドアガラスの曲率をアメリカ標準の
50インチRにする事と、メーターパネルをドライバー側に
向ける事等を三菱側に提案し、GTO発表直前に
日本の旭硝子で50Rガラスを完成させたといわれる。
こちらはレジャータイプの特徴的なホワイトインテリア。

ちなみにGTタイプはブラックカラーインテリアで
いずれもハイバックバケットシートを備え
しかもそのシートは回転式シートとなっていて
後席へはこのシートを回して出入りする。

220qフルスケールのスピードメーターに
6000〜8000rpmをレッドゾーンに持つタコメーター。
そして他にも燃料、油圧、水温、時計の
独立された4メーターの6連メーターを持ち、
中央にはカートリッジタイプカーステレオ装備の
豪華な大型コンソールボックスが付く。

ウッド製のステアリングやシフトノブの他
基本的な物はコルトギャランGSから流用している。
COLT 1500 DOHC ENGINE

また、このGTタイプに搭載されるエンジンユニットは
今回のショーモデル用に製作のコルト1500DOHC。
レース用フォーミュラマシン「コルトF2-C」のブロックの上に
新専用設計のDOHC16VALVEヘッドと
5スピードのトランスミッションが組み合わせられた。
キャブレターはツインチョークソレックス。

排気量は1499CCで推定馬力は120ps、
最高速は200q以上といわれた。

もう一台のレジャータイプに積まれたエンジンは
今回発表されたコルトギャランAIIGSに搭載される
三菱初のSOHCで「サターン」と名付けられた物と同じ。
SUツインキャブレターと4段フロアシフトの
トランスミッションとで組み合わされる。

同じく排気量は1499CCで馬力は105ps、最高速は180q

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