ギャランGTOストーリー第2話

1970-1971    Colt Galant GTO (A53C)

  量産型の開発。


1970年初頭。前年10月に公開されたショーモデル
「GTX-1」は人気を博し、市販化を望む声が高まり
量産モデル「GT-O」の製作に取り掛かる。

3月にはフォーミュラコルトF-IICのテストと同時に
2台のGTX-1が谷田部テストコースで走行している。

4月に三菱重工の自動車部門独立、
三菱自動車工業に。翌月ギャランハードトップ発売。
米国クライスラー社との技術提携を結び、
協力を受けガラス曲率等を手直し後量産化へ。

この時点での車名は「コルトギャランGT-O」
 グレード名は「X」。形式は「A54C」となっていた様だ。
1970年2月に書かれた上砂公昭氏のイメージスケッチから
具体的なモデルが製作されてゆく。
Hip up coupe ギャランGTO発表。

10月21日広報発表、翌日記者発表後25日から発売開始。
発売直後の30日から第17回東京モーターショー開催で
コルトギャランGTOを展示。ターンテーブルに載せられた
オレンジ色のMIIと黄緑色のMRは大きな話題となり
大人気を博し発売直後から注文が殺到したのである。

発売1か月で3339台を売り、納車待ちの状態が翌年迄続き
71年度にはGTOのみでも22364台を販売。

当初OHCエンジンのMIとMIIが発売され、DOHCのMRは
テスト期間が遅れ、12月からの発売にずれ込んだ。

17th TOKYO MOTOR SHOW MITSUBISHI BOOTH

1970   COLT Galant GTO-MII  (A53C-GS)
ベーシックグレード「MI」は、ベースとなるコルトギャランの
上級車種の装備を持ち、100psの1600CC搭載で78万円。

標準的量産グレード「MII」では、コルトギャランの
最上級スポーツ版のAIIGSとほぼ同じ装備に、
ラジアルタイヤと足回り強化、ストライプテープ貼付
エンジンはSUツインキャブを装着、圧縮比を9.5に高め、
排気系をデュアルにし110psを発生。最高速185km 84万円

イメージコピーは「ヒップアップクーペ、いうことなし」
(日本で初めてのダックテールです)とあり、
新生なる三菱自動車の意気込みが感じられる。
彫りの深い4灯ヘッドランプと4灯の赤テールランプは
ロケットの噴射口をイメージした同じモチーフとなっている。
フロントは逆スラントした鋭い顔つきで、テールは
ヒップアップのダックテールを斜めカットした特徴的なモノであり
大胆かつ繊細な凝った作りがなされている。
トランクの鍵穴もGTOのエンブレムで隠されてあったりと
細かい部品一つにもこだわりのデザインが見つかります。

この時期ギャランシリーズの販売、人気共に好調で
1971年8月にベースのコルトギャランがパワーアップ、
1400と1600CCのエンジンを搭載し「ギャランL」に。

10月にはコルトF(ファーストバック)の後継車、
弟分のギャランクーペFTOを発売し、そのまた弟の
軽自動車ミニカスキッパーも発売。GTOファミリー続々登場

                  ”Hip Up Coupe”
ギャランGTOのコンセプトは航空機。

名付けられたメーターは「フライトコックピット」と呼ばれ、
GTX-1よりも立体的にドライバー側に向けられ
天井にはオーバーヘッドコンソールを装備。
ブレーキ故障警告灯やシートベルト、ドアロック警告灯迄備わる。
MIIグレードはセンターコンソールボックス内に油圧と油温の
2連メーター迄付き、合計8連ものメーターが並ぶ。
木目調パネルも貼付され高級GTの雰囲気。

さらにシートのファブリック部もボディーカラーによって、
ボディーカラーがオレンジならシート柄もオレンジと
コーディネートされていたのである。
この様にかなりコストを掛けて作られていたのだが、
次に発売される17Xシリーズではカラーシートは廃止に。
内装もメッキ等の光り物も減り徐々にコストダウンしてゆきました。
4G32  SATURN-AIII ENGINE (1597CC)

ベースとなったコルトギャラン1500サターンAIIエンジンの
ボアを広げ排気量を1600に上げた物がGTOに初搭載。
後にこのエンジンはギャランLやランサーに搭載され
三菱の代表的エンジンに成長し4G32は大成功する。

三菱からスポーツキットも発売。チューンによりCI-AとB、
CII、フルチューンのCII改の4種。CIIでは148psを発生。
三菱が海外ラリー総合優勝したのもこのエンジンが最初。

国内や海外ラリーで大活躍したこのエンジンの基本設計が
30年以上経たランサーエボリューション用
4G63エンジンの基礎になっている程の完成度である事は
驚くべき事実であり、タフネスで高回転迄回るサターン4G32は40年間で60万キロ以上を走行し、現在も現役の
GTOが存在している事でも名エンジンと実証されよう。

1971  SATURN-AIIIGS 110ps/6700rpm 14.2kg-m/4800rpm


Torino Show 1971

1971年 イタリア トリノショーにて (写真提供:三橋慎一氏)

東京モーターショーだけではなく、イタリアのトリノ・ショーにもGTOを出品していたのです!
当時のイタリアでは自動車の輸入が禁止されていました。
輸入車の出展は商売の効果がないのにも関わらずGTOを出品したのは
デザインの本場イタリアで「デザインを問う」という意図がありました。

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